マーケティング関連の書籍は多く、何から読めばいいか迷いませんか?特にこれからマーケティングを学ぼうとする初心者の方にとっては入門書選びは結構大変だと思います。そこで今回は、これからマーケティングの勉強を始める方・改めて勉強し直したい方向けに、入門書をご紹介します。
この記事を読むメリットは次の通り。
- マーケティングの勉強開始から約8年で大企業のマーケティングマネージャーになった僕が、入門書として実際に役に立った書籍だけを厳選して紹介。
- 本当は少し難し目の本を紹介する方がかっこよかったりしますが、そんな見栄は一切なし。「本当に価値ある入門書かどうか」という基準で選定しました。
マーケティング入門書をご紹介
通勤大学MBA2 マーケティング(新版) グローバルタスクフォース 他1名(通勤大学文庫)
MBAというと難しそうに感じますが、本書は非常にコンパクトで片手サイズ。1見開きで1テーマで手軽に読み進めることができるため、初心者におすすめしたい入門書です。その名の通り、通勤時に読むのもおすすめです。通勤大学MBAシリーズということで、マーケティングの他にも、マネジメント(経営全般)、クリティカルシンキング(ゼロベース思考・論理的思考)、アカウンティング、コーポレートファイナンスなど、MBAに関する領域を広く網羅しているシリーズとなっており、ビジネスパーソンの入門書としてもおすすめできます。
学生時代は法律が専門でマーケティングの勉強はしたことがなかった僕が、マーケティングの面白さを知った本でもあります。単なる自己啓発本としてではなく、簡潔ながらも伝統的な理論・考え方を学べるため、この後に本格的に勉強したい方には特におすすめ。絶対に知っておきたい基礎が身につきます。
マーケティング戦略(第5版) 和田充夫、恩蔵直人、三浦俊彦(有斐閣アルマ)
本書は、慶應大学大学・中央大学・早稲田大学の先生が書かれた本で、学問と実践・基礎と応用までを意識した本と言えます。ですので、趣味で学びたいという方には必要ないかもしれませんが、基礎から学んでこれからマーケティングを仕事にしていきたいという方には是非読んでいただきたい本です。
僕は、先に紹介した「通勤大学MBA2 マーケティング」で興味を持った後、この本を読みました。これからマーケティングの仕事に就きたいと思っていた僕にとって、まずは大学の講義レベルの知識を身に付けることが必要でした。「学者が書いた本」ということで少し硬いイメージもありますが、おすすめです。
ここらで広告コピーの本当の話をします。 小霜和也(宣伝会議)
この本は、上の二つの本とは違い、マーケティングの基礎知識を網羅する本ではありません。「広告コピー」に関する本です。ただ、この本がすごいのは、コピーを考える際に、プロモーション(どのようなコピーを書けば、インパクトがあるか、お客様に響くか)の視点ではなく、商品自体に着目する重要性を教えてくれる点です。つまり、STP(市場をどのように分割し、ターゲットを絞って、ポジショニングを確立していくか)という視点や、4PでいうところのProductについて、どう定義していくかという視点でコピーを考えることができるようになるということです。その商品をどう定義するか、どんなポジションをとるか(売りにするか)で商品の価値は変化し、お客様の満たされない部分(ニーズ)とその商品の価値を埋めるのがコピーだということに気づかされます。
実際にコピーライティングだけを仕事にしていく方は多くないかもしれませんが、本書で学ぶことができるコピーライティングの考え方は、マーケターにとっては必須のものと思います。それは、「コピー=商品のポジショニング」に思えるからです。ポジショニングの考え方はマーケティングにおいて非常に重要で、それはターゲティングや他社製品との差別化とも強く関係します。本書はストーリー的にも面白く、非常に楽しみながら読める内容となっています(また、その工夫がされています)ので、是非読んでみてください。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 森岡毅 (角川文庫)
本書は、低迷していたUSJをV字回復させたあのマーケター森岡毅さんの本です。本書はいろんなところでおすすめ・紹介され過ぎて、逆に読むのをためらってしまうくらいですが、読まず嫌いは損をします。USJと言えば、ハリーポッターのアトラクションの大成功が目立ちますが、それに至るまでの連戦連勝が爽快です。映画のテーマパークだったUSJのポジショニングの見直し(リブランディングと言ってもいいかもしれません)。既存のターゲット層を毀損することなく、ファミリー層を取り込むためのアイデア、そして題名にもある後ろ向きに走るジェットコースター。どれ一つ失敗できない状況でのマーケティングの手腕、そして組織を動かす力に、きっと感銘を受けます。マーケターは、論理と感情、左脳と右脳、どちらも磨いていかないといけないと改めて感じさせられます。
この本は、実際にマーケティングの仕事を始めてから、読んだ本です。仕事のモチベーションも上がりましたし、自分にもまだまだやれることがあることに気づかされます。僕は森岡さんの本が好きで、次の本は全部読んでいます。「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」、「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」、「マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド」、「苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」」。マーケターの働き方はもちろん、実際の組織にマーケティングを浸透させることの大変さなど、これからマーケターを目指す方がいつか立ち向かう壁と乗り越え方が書かれています。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)
マーケティングの仕事と年収のリアル 山口 義宏(ダイヤモンド社)
最後におすすめしたいのは、マーケターとしてのキャリアを築いていくために欠かせない本の一つです。「今はとにかくマーケティングの職に就きたい。後のことは実際に働き始めてから考える。」基本的にはそれでも良いのですが、マーケターとしてのキャリア形成を理解しておくことで、10年後の成長度合い・ポジションは大きく変わってきます。この本では、給与水準の高い企業とそれ以外の区別、事業会社と支援会社でのキャリアの積み方、そしてプロフェッショナルとしての道とマネージャーとしての道など、必ずしも正解のないキャリア形成について、読者が先を見通せるよう教えてくれます。
この本は、これからマーケティングの仕事に就きたい方、すで仕事で携わっている方・中堅マーケターまで、あらゆる層に読んでもらいたい本です。僕が重要だと思うことは、「自分が選択してきたキャリアかどうか」です。進む方向のメリット・デメリットを知り、その上で自身で選択したキャリアを築いていきましょう。
マーケターとしてのキャリアを踏み出そう
あの日、28歳の僕がそうだったように、最初はみんなマーケティングの初心者です。でも今からでも遅くない。マーケティングが面白いと思うなら、その一歩を踏み出しませんか?