年上部下の接し方・育て方【徹底ガイド】

昇進おめでとうございます。若くして出世される方の悩みに年上部下との接し方・育て方があります。30歳で課長、35歳で部長になり、部下である課長は全員年上、一般職もほとんどが年上の状況になった僕が、年上部下の接し方・育て方について解説します。

マインドセット

まず、最も重要なのがマインドセットです。年下でありながら上司になったことをどのように受け止めるか、この点の整理ができないまま業務に入ると、きっと思うように力を発揮することができないでしょう。

「別に偉いわけではない」ということを認識する

出世したから、昇進したからといって、人間的に優れている・価値があるというわけではありません。人として偉いわけでもなく、偉そうにしていいというわけでもありません。まずはこの点を認識しましょう。

「組織から与えられた役割」であることを認識する

逆に、自分には大した特技も長所もないなど、卑下する必要も全くありません。そもそも、何らかの長所があったからこそ、抜擢されているはずです。自分の年次やキャリアから、「このようなポジションを務めていいのか」と悩むこともあるかもしれませんが、あなたはそのポジションで全く問題ありません。なぜなら、組織がそれを選んだのだから。反対に、あなたの指示に従わない部下がいたとしたら、その部下は会社の決定・判断にしたがっていないことになるのです。それは、たとえあなたの判断や決定が間違っていたとしてもです。組織は、あなたの「8つの失敗と2つの成功」をあえて選択したのかもしれません。そうでなくて、あなたが本当に上司として相応しくないとしても、それを個々の部下が判断するのは組織的におかしいのです。組織の中の役割はあくまで組織が決定すべきで、個人が決定できるものではありません。個々の部下の誤った判断で、指示系統が乱れるのは損失ですし、仮に部下の判断が誤っていなかったとしても、部下の指摘により、いちいち指示系統が乱れるのでは、組織的な動きができなくなります。

それではあなた自身が、「自分の判断は間違っているかもしれない」といつも弱気で、上司としての判断を避けたり、責任ある行動を取らなかったりしたらどうでしょうか。それは、あなたが組織から与えられた役割を果たしていないことを意味します。あなたのその謙虚な姿勢は、組織からの指示を無視していることになるかもしれないのです。組織から与えられた役割」であることを認識することがどれほど重要かわかっていただけたのではないでしょうか。

接し方ガイド

言葉づかい

まずは敬語で接しましょう。年上部下は人生の先輩です。仮に仕事ができなくても、人生の先輩です。まずはそれを忘れずに接しましょう。心配はいりません。敬語でも厳しく指摘したり、注意したりすることは十分可能です。

積極的に話しかける

年上のあなたが上司になったことで、部下は戸惑っているかもしれません。会社の命令だからと言い聞かせると同時に、ふとした瞬間にあなたに先を越された劣等感や不満を感じることもあるでしょう。それを解決するのは時間だけですが、あなたが逃げていては仕事は進みません。仕事が滞ると、あなたも部下も組織も結局不幸になってしまいます。毎朝の挨拶はもちろんですが、意図的に話しかける機会を作りましょう。

相談する

個々の業務知識や経験については、あなたよりも年上部下の方が豊富という分野もあるでしょう。人は頼られたい生き物です。まずは、年上部下の協力を引き出し、「ありがとうございます。」と感謝を伝えてみてください。あとは心理学でいう「一貫性の法則」。何度かあなたのことを助けた(と思っている)年上部下は、いつしかあなたに協力をすることこそが、一貫した行動になります。そしてそれが続くことで、あなたとの関係性も改善されるでしょう。

育て方ガイド

マネージャーの視点で

まずはマネージャーの視点を持ってください。高い位置から見渡せるかどうかが重要です。どうしても、上司(自分)と部下との関係を意識してしまいがちですが、それではどうしても人と人との関係が前に出てしまいます。そうすると、年下のあなたには非常にやりにくく感じるはず。そこで、もう一つ高い位置の視点を持ちましょう。自分も含めて、その組織と構成メンバーがどうあるべきか、どう成長していくべきかの視点で見れば、成長の方向性が見えてきますし、指導の際にも遠慮することがなくなってきます。

指示の細かさと確認の頻度調整

部下のレベルに合わせて、指示の細かさと確認の頻度が変わってきます。十分な経験がある部下に詳細な指示は不要ですし、経過の確認も少なくて問題ありません。その逆の場合は新人にするような指示と経過の確認が必要になるでしょう。

人事評価制度の活用

育成のためには納得感のある指導が必要ですが、そこで活用すべきは社内の人事評価制度です。社内の評価基準を満たしていないからマイナス評価であること。その評価を満たすために、どこを伸ばす必要があるかを説明する。といったように、とにかく客観的な基準で評価し、成長を促します。

以上、年上部下への接し方・育て方について説明してきました。とにかく精神的には大変な年上部下の指導ですが、まずは上記のマインドセットで接してみてください。そして、その期間を乗り切ることができれば、最後はやはり人と人の関係。十分な信頼関係ができれば、あるときは厳しく指導しつつもあるときは頼る場面があったりなど、良いパートナー・良いチームメイトとしての関係を築けます。会社から求められるマネージャーとしてのあなたへの期待を自信に、マネージャーとしての役割を楽しみましょう!