マーケターになるには【複数ルートあり】

将来はマーケターになりたいと思っているけど、どうすればなれるかわからないという人は多いのではないでしょうか。これは、そもそもマーケターが人気職種であること、一つの企業において配置されるマーケターの数がそれほど多くないこと、日本においては職種別の採用があまり行われていないことなど、多くの理由があります。一見難しそうなマーケターへの道ですが心配は要りません。あなたにも合ったルートが見つかるはずです。僕自身の実体験もご紹介しならが、お教えします。

その①:職種別採用ルート

まず、最も確実なのが、職種別採用ルートです。採用の時点で職種が特定されているので、確実にマーケターになれるルートです。一方で、マーケティング職の採用があるということは、マーケティングに力を入れている会社であることや、即戦力としてマーケティングの力が求められるということでもあるため、ハードルは低くはありません。それ相応のスキルと経験をもってチャレンジするルートとなるでしょう。

マーケティングが重要と言われている業界、例えば大手の消費財メーカーにおいては、職種別の採用が行われています。例えば、資生堂や花王ですね。マーケターの森岡毅さんが改革したことで有名なUSJも、職種別の採用を行っています。

一方で、やはりマーケティング発祥の地、アメリカの会社はマーケティングの採用も重視していますね。有名なのはP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)だと思います。先ほどのUSJの森岡さんもP&G出身ですし、マーケターや経営者を輩出する企業としても有名です。

その②:コンサルタントからの転職ルート

次に、ハイキャリアを目指せるルートとして、コンサルタントからの転職ルートがあります。コンサルタントといっても色々ありますが、人気はやはり経営コンサルタントや戦略コンサルタント。企業の意思決定の重要な部分に関わるコンサルタントとして、スピード感を持って成長できる職種といわれています。

ポイントは、新卒の就職先としても選択肢にあがることです。経営という重要な場面に関わる仕事で、クライアントは企業の社長など、組織のトップクラスですが、論理的思考力や想像力を持って、若いうちから活躍することができます。ただし、そのためには相当な頭脳・コミュニケーション能力・タフさなども必要です。東大・早稲田・慶應などの日本のトップスクール卒業生が多く、成長スピード・給与面などの待遇・ステータス・キャリア形成などの面で、人気の就職先となっています。

就職の難易度も高く、若くして経営に関する様々な経験をつめるコンサルタントですので、その転職市場での価値も自然と高く評価されます。戦略志向・経営視点が重要なマーケティングの仕事にも親和性があり、マーケターへの転職も可能です。

その③:社内異動ルート

これまでの2つは、その能力やバックグラウンドのハードルが非常に高いルートでしたが、普通の人がマーケターを目指すなら、社内異動ルートがおすすめです。もちろん、組織での人事の判断が含まれるため、確実にマーケターになれるとは限りませんが、自分の手で可能性を広げていくことは可能です。実際に、僕がマーケターになれたのもこのルートです。

まずは営業職から

おすすめは、営業職から始めることです。営業職には足で稼ぐというイメージもありますが、頭を使ったスマートな営業で成果を出している人も多くいます。

営業においては、誰にアプローチするかというターゲティング、自社のサービスや自分自身をどのように売り込むかというポジショニング、接触の頻度や訴求などのプロモーションの要素など、マーケティングの仕事に関わるようなポイントが多くあります。何よりも、直接お客様と向き合う機会はとても重要で、顧客のニーズを読み取るという重要な視点がしっかりと身につきます。さらに、マーケターの仕事は様々な部門と協同で取り組む必要があることから、営業で身に付けたコミュニケーションスキルも存分に活かすことができます。

会社側からしても、営業で成果を出した人は、マーケターに登用しやすい背景があります。やはり、花形の部署であるマーケティング部門には、高い実績を上げた職員を登用する方が、納得性があります。また、売上に直結する部門でもあることから、営業で売上を上てきた人を登用するのにも整合性があります。実際に、高い実績を上げる営業担当者には独自の経験と人を動かすための基準を持っており、それがマーケティングの知識と融合したときに、大きな力を発揮することがあります。

広報などの間接部門

営業の経験はマーケティングに活かせるものの、より広く網をかけるようなアプローチを行う部署についても、マーケティングと整合性があります。

広報といってもマスコミ対応が中心の部署もあれば、間接営業をしている部門、集客のためのイベントやパンフレット制作・DM作成などのプロモーションを実施している部署もあります。これらは、企業によってはマーケティングの一機能を担っているともいえ、マーケターへの近道になります。

Web関連の部門

Web課やデジタル部門についても、マーケターへの近道になります。Web制作については、ペルソナ設定からカスタマージャーニーマップの作成、サイト訪問者の分析など、まさにマーケティングに関わる業務が多くあります。

また、マーケティングにおいて、Webの知識は必要不可欠になっています。これからマーケターを目指す方にとって、どの道いつかは勉強しなければならないのがWebマーケティングです。しかも、企業としても今後重要性がますます高まるWeb知識がある人の方を、今後のマーケティングの中心を担っていくべき人物と評価することも想定できます。したがって、Web関連の部門からの異動もおすすめです。

異動には、意思表示が重要

自分の成長とマーケティング部門の空き具合を見ながら、異動の機会を見計っていく必要がありますが、大事なことは、マーケティングに興味があることを周囲の人に知っておいてもらうことです。

人事にあたっては、入社時の書面・面接時の情報から、本人の特性・異動希望などが反映されますが、それぞれの部署の状況や意見を求めることもあります。

そのときに、「部下のあいつがマーケティングに興味があるって言ってたな」とか「同僚の彼が、マーケティングの勉強をしてると言ってたな」とか、その辺の情報が効いてきます。ここでも、普段から自分のポジショニングをどうしておくかという点で、マーケターとしての素養が試されています。

その④:転職時の職種変えルート

少し高度ですが可能性のあるものとして、転職と職種変更を同時にやってしまう方法があります。受入れ先の企業によっては、完璧なマーケティングの経験を求められることもありますが、営業や広報などの経験をマーケティングの視点で切り取り、そこをアピールすることで、マーケティングに準じる経験ありと評価してもらえることもあります。

一見難しそうに思えますが、自分をどのように売っていくかというのもマーケターとしての一歩。マーケティングを勉強しているみなさんなら可能です。

おわりに

マーケターになるためのルートとしては、職種別採用やコンサルタントとしての採用といったハードルの高いものから、営業からマーケティング部門に異動という比較的誰でも目指しやすいルートがあります。やはり大事なのは、常にマーケティングの勉強を続けることと、自分の仕事を常にマーケティングの視点で取り組むことです。その経験が積み重なることで、マーケターの道が開けます。