3分でわかるマーケティングの仕事とキャリア【実体験あり】

一見華やかなイメージのあるマーケティングの仕事ですが、仕事の内容やその役割は様々です。これからマーケターとしてのキャリアを築く事を夢見ている方、マーケターとしてのキャリアアップを目指している方に、仕事の実態とキャリア形成についてお話します。

  • マーケティングの仕事は様々、あなたの目指す分野は?
  • マーケターとしてのキャリア形成
  • どんなキャリアを目指すかはあなた次第、でも最初に目標を間違えると望んでいない方向に(参考書籍紹介)

マーケティングの仕事は様々

マーケティングの仕事は幅広く、しかも線引きが曖昧なところもあり、企業によってその内容・業務範囲は様々です。ここでは代表的な業務について、フレームワークである4P(Product(製品・商品)、Price(価格)Place(流通)、Promotion(プロモー ション))、に沿ってご紹介します。

商品企画・商品開発

まずは、商品企画・商品開発業務です。これは、マーケティング分析の4PでいうところのProductに当たる部分ですね。この部門では、新商品のコンセプトから細かな商品の機能・仕様まで企画していくことになります。技術的な商品を中心とする企業では、製造部門がこの役割を担うこともあります。マーケティングが定着している企業では、市場の分析・リサーチを通じて、社会のニーズにあった商品をマーケティング主導で企画していくことになります。

会社の技術力を活かした革新的な商品を企画し大ヒットを狙うか、マーケットのニーズを十分に調査し、顧客が望む商品を提供するか、これは商品企画にとっての永遠のテーマでしょう。

マーケティングにおける商品開発の考え方には大きく分けて、プロダクトアウト(作り手が良いと思うものを作る)という考えと、マーケットイン(顧客のニーズに合うものを作る)という2つがあります。歴史的には、技術の発展に伴い商品が高度化し売れてきたという経緯から、過去はプロダクトアウトの考え方が主流でしたが、現在は多様化したニーズに応える必要性からマーケットインの考え方が取り入れられるようになってきていると言われることがあります。また、マーケットインの考え方は、顧客のニーズに応えるための調査やそれに沿った商品開発を行うため、より新しい考え方とも言われます。

価格

4PでいうところのPriceですね。価格戦略のみを担当する部署を有する企業は、あまり多くはありません。価格は、上記の商品企画の段階で決まる場合もありますし、実際に商品販売時の売上・コスト・利益を考えるにあたっては、総合的に考える必要もあります。一方で、一部の大規模な小売業(大手のスーパー)などでは、価格戦略の部門が独立している場合もあります。そこでは、統計学などを駆使して価格弾力性(値段を上げたり下げたりしたときに、需要がどの程度の変化するかを数値で示したもの)を算出し、価格に反映させます。

販売・流通

4Pでは、Placeにあたります。営業部や販売部、販売統括部といった部門が担います。メーカーの営業部であればバイヤーに営業を行い販路拡大を目指したり、販売部は店舗のディスプレイ・装飾、販売員のスキル向上、新店舗の出店など、販売経路の拡大・拡充に関する業務に携わります。顧客との直接の接点をコントロールする部門という点で重要な部門です。

プロモーション(購買喚起)

4Pでは、Promotionにあたります。広告宣伝部・広報部といった部門が担います。テレビ・新聞・雑誌・ラジオといったマスメディアおよびインターネットメディアを駆使して、需要喚起から購買誘導まで対応してきます。最近では、インターネットメディアの重要性が高まってきており、高度な専門性も求められることから、各分野におけるスペシャリストとしての業務にも注目してみたいと思います。いわゆる、Webマーケティングの仕事です。

自社サイトの構築・運営

まず、Webマーケティングにおいてなんといっても大事なのが、自社サイトですね。最近では、LINE@やFacebookなどのSNSを自社サイトとして活用している企業もありますが、やはりカスタマイズ性やGoogle等の検索エンジンからの流入を考えると、自社サイトの構築は必須。自社サイトを構築・運用する上では、全体を指揮するディレクター、サイトのデザインを担当するデザイナー、実際にサイトを作っていくコーダーなど、大規模な会社では役割が分かれていますが、小規模な会社では兼務しながら対応していくイメージですね。デザイナーやコーダーからのキャリアアップで、ディレクターになっていくというキャリア形成も一般的です。

SEO対策

自社サイトを構築したら、多くの方に訪問してもらう必要があります。自社サイトの運営の範囲と重なる部分もありますが、サイトの構造・狙ったキーワードの設定、情報量など、ここでも専門性が問われます。外部リンクを多く貼れば良かった過去とは異なり、検索エンジンも大きく進化しています。Googleのアップデータとを意識しながらも、基本的には訪問者が使いやすいサイト・訪問者が求める情報を有するサイト作りを地道にしていくことが重要と言われています。

Web広告

自社サイトへの流入数増加を目的として、また購買見込みの高い顧客の刈り取り策として、Web広告が活用されています。消費者のインターネット利用時間が増加するにつれて、これまで以上にその重要性は高まっています。同じWeb広告と言ってもその出稿の仕組みは様々です。例えば有名なところでは、GoogleやYahoo!での検索結果に連動して掲載されるリスティング広告(検索連動型広告)や、各種ニュースサイトやブログ、乗り換えアプリ等ありとあらゆるインターネット媒体にバナーが掲載されるディスプレイ広告などがあります。そして、ディスプレイ広告の出し方についても、属性や興味でターゲットを絞るカスタムインテントやカスタムインテント、一度自社サイトを訪れた方に対する追跡型広告のリターゲティング広告・リマーケティング広告など、ターゲットや目的に合わせて、活用する広告を選定していく必要があります。効果測定と合わせて、予算のアロケーション(割当)についても調整を行うなど、こちらも各広告の特性と全体像を把握する専門的な業務と言えます。

SNS運用

最近では、自社のSNSアカウントを持つことも当たり前になってきました。Facebook、Twitter、Instagram、LINEなど、ユーザーとの接点を持ちつつ、オフィシャルサイトではできないような、アプローチで新たな顧客を掴みます。一方で、炎上のリスクなども潜んでおり、保守的な企業ではアカウントの開設にも一苦労するところですが、今後も引き続き重要なWebマーケティング施策と言えます。

外部企業との連携

マーケティングについては、自社だけで対応を完結させることは少なく、むしろ一定規模の企業においては、外部の企業と連携の上対応しているケースの方が多いと思います。例えば、経営やマーケティング全般のコンサル会社、総合的な広告代理店、Web広告に特化した代理店、SEO会社、SNSの運用代行、MAツールのベンダー、HPの制作会社などでの活躍も可能です。一つの企業で専門性を磨いたり、複数の分野を渡り歩いて総合的なマーケティングスキルを身につけたり、最終的には事業会社のマーケティング部門の役職に就いたり、自由にキャリアを思い描くことができます。

マーケターとしてのキャリア形成

以上のようにマーケティングに関わる仕事の内容について見てきましたが、最後にキャリア形成について見ていきたいと思います。

事業会社でのキャリアアップ型

これは事業会社のマーケティング関連部署で、スキルアップ・キャリアアップしていく方法です。日本の事業会社の場合は、一つの部署だけに専念させることは少ないですが、入社→営業→マーケティング→広報→経営企画など、マーケティングに関連する部署を回りながらのキャリアアップも目指す方法です。この場合、単にいろいろな部署を回るだけでなく、同時にマネージャーとしての管理能力を磨いていくのが、多くの日本企業ではないでしょうか。最終的には、CMO(Chief Marketing Officer)を目指すというのが、このキャリアアップの目標となりますが、(生活を送る上での)リスクが小さいというのも、このキャリアアップ型のメリットでもあります。比較的安定した企業で、時にはマーケティングから少し離れた部署に異動することもあるかもしれませんが、様々な経験を積みながら、マネージャーとしての能力を高めつつ、待遇・役職をアップさせていくというようなプランです。

支援会社でのプロフェッショナル型

支援会社においては、特定の分野(例えば、Webマーケティング、さらに言えばリスティング広告・SEOなど)に特化しているケースも多く、この場合は特にプロフェッショナルとしての道を進むこととなります。1年間365日(休みはありますが)プロフェッショナルとして仕事をし、しかも周りもその道のプロフェッショナル。会社のトップにはその道の第一人者がいたり、先輩や同期、後輩とも競争しながら専門性を高めるため、数年経てばその分野では一通りのことができるようになっており、その自身も付いているはずです。最終的には、その会社・その業界でのトップを目指すのも良し、その専門性を活かして、あえて事業会社に入り、事業を大きく動かしていくのも良しといったところです。リスクは、経営全体に関する経験を積みづらいこと。

どんなキャリアを目指すかはあなた次第、でも最初に目標を間違えると望んでいない方向に

どの道にもメリット・デメリット、そして充実感と(少しの?)辛さが待っています。でも、最終的にどこに向かいたいか、その目標は間違えないように設定しましょう。必死に仕事を取り組めば取り組むほど、時が経つのはあっという間。気が付けば、5年・10年が経過しています。そうなった時に、あなたのキャリアは思い描いていた方向に進んでいるでしょうか?遠い将来を決めるのは、これからの数年、そしてこれからの数年を決めるのは今のあなたの決定次第です。

参考書籍(マーケティングの仕事と年収のリアル)

皆さんに是非読んでいただきたい書籍があります。それは、山口義宏さんの「マーケティングの仕事と年収のリアル」ダイヤモンド社です。同じマーケティング職でも、そのキャリア形成や過ごし方で、大きく年収に差が出る様子が書かれています。「後悔しないキャリアを積んでほしい」という想いで、お節介な先輩と自覚しつつ、後輩に進めている本です。皆さんにもお節介と思われてもいいです。是非手に取っていただき、後悔のないマーケターとしてのキャリアを!

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